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鉄筋ガス圧接継手

A級継手とは

A級継手とは、元々はカプラーなどを用いた機械式継手の性能分類(SA級、A級、B級、C級の4種類) の一つです。

機械式継手の場合は、応力の伝達機構がガス圧接継手や溶接継手と異なり、引張強度は母材破断であるが、すべりが生じる工法、繰返し試験を行うとすべりが増加する工法、降伏点を過ぎると抜け出す工法などがあるため、SA級、A級、B級、C級の4段階に分類されています。
A級継手は、「強度と剛性に関しては母材並であるが、その他に関しては母材よりもやや劣る継手」と定義されています。

一方、ガス圧接継手については、強度、剛性はもちろん、付着生状に関してもほぼ母材と同等で、また、一方向繰返し試験に加えて塑性域正負繰返し試験を行い、継手単体としてはSA級継手の性能を有することを確認しています。
しかし、SA級継手はどの位置でも無条件で使用できる継手と規定されているため、使用規定上、ガス圧接継手はA級継手としました。

なお、A級継手の規定はガス圧接継手、溶接継手、機械式継手などすべての継手に対する共通の規定です。溶接継手や機械式継手も現在開発されている継手の大半がA級継手です。

↑ 柱
↑ 梁

A級ガス圧接継手の施工範囲について

(公社)日本鉄筋継手協会では、前述の「ガス圧接継手性能判定基準」に基づき、ガス圧接継手について各種の加力実験(弾塑性域一方向繰返し実験、曲げ試験、断面マクロ試験)を行い、A級継手の性能を有することを確認しました。その結果、実験的に確認を行った範囲についてA級継手の施工が可能と規定しました。 現在までに、実験的に確認した範囲は表に示すとおりです。

A級ガス圧接継手が施工可能な範囲
圧接方法 手動ガス圧接、熱間押抜ガス圧接、自動ガス圧接、高分子天然ガス圧接継手
鋼種及び径 SD345(D19~D51)、SD390(D22~D41)、SD490(D22~D41)
異鋼種継手 SD345とSD390の継手及びSD390とSD490の継手
異径継手 鉄筋径の差4mm以下の継手ただし、高強度細径と低強度太径の継手は除く。
節の形状 竹節十竹節、竹節十ねじ節、ねじ節十ねじ節
圧接施工会社 (公社)日本鉄筋継手協会が認定したA級継手圧接施工会社
技量資格者 手動ガス圧接3種・4種、熱間押抜ガス圧接3種・4種、自動ガス圧接3種・4種
施工要領 A級継手圧接施工会社が作成したA級継手圧接施工要領書に拠る。

A級継手圧接施工会社とは

本来は、「鉄筋のガス圧接工事標準仕様書」に準じた施工を確実に行えば、すべてA級継手の性能が得られると考えられますが、A級継手は確実に母材強度を保証する継手でなければなりません。このため、A級継手の場合は、端面加工、加熱、加圧に関する注意点など、部分的に「鉄筋のガス圧接工事標準仕様書」の範囲より厳しく規定した「A級継手圧接施工要領書」に基づくガス圧接施工を行うこととしています。

(公社)日本鉄筋継手協会では、優良圧接会社で、かつ、A級継手の施工管理を確実に行う体制の整った企業に対して「A級継手圧接施工会社」の認定を行っています。したがって、A級継手の施工を行う場合は、A級継手圧接施工会社の認定取得会社が対応しなければなりません。

また、A級継手圧接施工会社の認定を受けた会社が施工した継手は、すべてA級継手ではなく、前述の表1に示す範囲で、かつ「A級継手圧接施工要領書」に基づいた施工管理を行った場合に限ります。

↑ A級継手圧接施工会社認定書

A級継手施工上のメリット

A級継手は、柱や大梁の材端など引張力の最も小さい部分以外の部分にも条件付注)ですが、全数同一断面に設けることができます。このため、継手を施工する際の制約が著しく少なくなり、現場での施工管理が簡便になります。また、継手を同一断面に設けることができるため、先組み鉄筋工法の継手にも適用が可能となり、鉄筋コンクリート工事の施工の合理化にも寄与します。

建築構造物における継手を設けても良い部分の例を下図に示します。

  • (A)A級継手以外の継手を設けても良い部分(網掛け部分)の例
  • (B)A級継手を設けても良い部分(網掛け部分)の例

注)白抜き部分に継手を設ける場合は、耐震計算の方法に制約があります。

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